2010年6月アーカイブ

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トップにも記しました通り、次回コミケは落選しました。
それはさておき引き続きEU3の紹介です。かなり長いですスミマセン。


前回書いた通り、色々な楽しみ方が出来るEU3ではありますが
1399年10月14日から始まるグランドキャンペーンを最後までやる場合には
「この国でどこまで勢力を拡大できるか」というところに落ち着くと思います。
いやその、基本的なデザインが陣取りゲームである以上仕方ないのですが
グランドキャンペーンは他に楽しみ方がないような気がします。

EU3のAIは当時の国家の行動原理にわりと忠実でして、
併呑できそうな周囲の国にはどんどん戦争をふっかけて侵略していき、
そうでない場合もアフリカ・新大陸などの「空白地」に植民していき、
時にはそれを並行して行うためAI担当国家は際限なく巨大化していきます。
大きくなりすぎた結果、反乱が続発して自滅してることもありますが。

ともあれ、そんなAIの巨大国家に囲まれている状態で
プレーヤー国家がこの先生きのこるには同じ手法を取るしかありません。
魔物を倒すためには自らも魔物となるしかないのです。

自らは巨大化せず各国と同盟を結び合従策により巨大国家に対抗する、
そういう方法も考えられます。
ただ現実世界同様、同盟というものは本当にアテになりません。
結局は相手の胸三寸、裏切られたからといって文句を言う先はありません。
仮にAIが話を聞いてくれたとしても「信じたお前が馬鹿なんだよ」と
至極当然な返答があるだけでしょう。
国際社会を動かすのはリアリズム、理想主義者は馬鹿を見るだけいうのは
古今東西随所で確認できることですし、それはEU3でも同様なのです。
盟約違反を大義名分にして元同盟相手を攻撃することもまたリアリズム。

そのため戦争か植民かの違いはあるものの、やることは巨大化です。
元から巨大な国や、膨大な海軍さえあれば防衛可能な島嶼国家であれば
拡張しなくても生き残れるでしょうが、そんな国は限られます。
パッと思いつくのは...イングランド、明、日本くらいのものではないかと。
その他の国家は戦争、植民、その両方を駆使して強大になる他ありません。
改めて日本という国の地政学的幸運を思わずにはいられません。

そんなわけでグランドキャンペーン完走は飽きます。やることが毎回同じなので。
ただ「自らを化け物に変える」過程はその国々によって異なりますので
そこは何度やっても楽しいです。
ナバラとかシレジアとかグラナダを覇権国家にできた時の爽快感といえばもう。


また、このゲームでは西欧に所属する国家以外は技術的ハンデを背負っています。
19世紀時点での技術力の差を考えれば納得のいくことではありますが
西欧諸国以外でプレイするとこれが理不尽でなりません。

西欧だと10年で開発できる技術がアメリカだと500年掛かります。
いやそれゲーム終わる前に開発できませんけど。どんなバランスだ。
アジアだと技術の差はそこまで酷くないですが、16世紀も半ばを過ぎると
ガレオンに乗った西洋人が突然戦争をふっかけて国土を占拠していきます。
対抗しようにもこちらは弓、向こうはマスケット銃。
人海戦術で何とかするにも限度があるというものです。

ゲームバランス的には憤慨したくもなりますが、それが「リアル」というもの。
ソコトラだってマラッカだってある日突然ポルトガル人に占領されました。
アステカ王国はコルテス率いる500人に滅ぼされ、インカ帝国は
ピサロ率いる168人に滅ぼされたんですから(一部誇張あり)。
未開の原住民はただ焼かれ、縛られ、鞭打たれ、また屠られるしかないのです。

もちろんゲームですから救済措置があります。それが西欧化。
国内の安定性を犠牲にし、西欧の先進文明を受け入れれば
それまで受けていた技術的ハンデをゼロにすることが出来るのです。
西欧化するためには一定の前提条件があり、それを満たすためには
結構な年月と若干の運が必要ですが無理というほどではありません。

そして西欧化してしまえばこっちのもの、マスケット銃とガレオン船は
今や彼らだけのものではありません。
むしろ周囲に未開の民が溢れている我々にこそチャンスがあるのだ...。
ここで明治維新以後の日本のアレコレを想起すると未来が暗そうですが
19世紀時点で終わる話ですからあまり気にせず。
ほら、チャクリー改革後のタイみたいな例もあるわけですし。


巨大化と西欧化。

グランドキャンペーン終了まで生き残るために必要なものはこの2つです。
後者は技術面における近代化と言い換えた方が適切でしょうか。
そして集団安全保障と民族自決という発想が広汎に受け入れられるまで、
実在した国家の生存戦略も概ねそのようなものだったと思います。

EU3というゲームはプレイするたびに異なる「世界史」を見せてくれます。
ゲームという一定の枠組みの内で構築された歴史は奇妙で、不可思議で、
それでもどこか納得する、歪な「世界史」です。
その歪さを生み出した最大のファクターがプレイヤー、自分自身である。
この点こそ、このゲームに「はまる」理由なのでしょう。

拡張パックまで全て含んだ「ヨーロッパユニバーサリスⅢ ゴールド」を
買うとなると、うちの作品全部よりお高い金額にはなりますが
世界史を物語として好きな方なら価格以上に楽しめる一本だと思います。
梅雨の家籠もり用に、または夏の避暑地旅行のお供に...と
この簡易歴史シミュレーターはいかがでしょうか。

作り手側からすれば...うーん。
歴史If小説を書く時にも使える......かも?