ストーリー書きの基礎知識   〜超初等物書き養成講座〜

第0回 ストーリー書きほど素敵な商売はない
第一回 学園ラブコメを書こう! でも主人公は?
第二回 ヒロインを設定する −職業・人数−
第三回 ヒロインを設定する −幼なじみ−
第四回 ヒロインを設定する −上級生・下級生−
第五回 ヒロインを設定する −最後の一人−
第六回 ヒロインを設定する −命名−
第七回 ヒロインを設定する −家庭環境−
第八回 ストーリーを考える −ゲーム世界の時間枠−
第九回 ストーリーを考える −?−(執筆中)
補論一 サブキャラクター考

第0回  ストーリー書きほど素敵な商売はない

まあ、色々と「素敵な」事由は挙げられますが、一例を述べるだけにしておきましょう。
なんと言っても、思い立ったら何時でも脚本家になれるってのが良いですね。

CG絵師になろうと思えば、タブレット買って、フォトレタッチソフト買わなければならない。
音楽屋になりたければ、良いサウンドカードと専用音楽ソフトを購入の要あり。
でも、脚本家を始めるには何もいらない。メモ帳一冊あればそれで十分。
自分に向いていないと思えば即座に辞められる、この気楽さ。
他の分野ではなかなか無いでしょう? だから、始めましょう。

「何」って、ストーリーを書くことですよ。


第一回  学園ラブコメを書こう! でも主人公は?

全くのフリーハンドで進めていくのは困難なので、便宜的にテーマを
「オリジナル学園ラブコメADVを作ろう!」ということにしておきましょう。

いきなり脚本を書き始めても良いのですが、それではあまりにも支離滅裂なストーリーに
なる可能性があります。1週間前の夕食に何を食べたかすら記憶困難な人間の脳では、
例え自分の書いたストーリーであっても結構忘れたりします。
せめて物語の根幹部分くらいは確固としたものを作っておきましょう。

つまりそれが「設定」です。

それに設定があれば、ゲームの概要を他者に伝える時には便利ですので
作っておいて損になるということはないでしょう。
なお、この講座では設定をいかにして作っていくかという作業の説明だけに
紙面の殆どを費やすと思いますが、ご了承下さい。

さて、ようやくここで本題に入りましょう。学園ラブコメでしたね。

まずは学校名を考えましょう。
聖カタロニア高校でも星ヶ丘学園高等部でも何でも構いません。適当に付けましょう。
聖シュナイダー学園、いい感じですね。主人公はそちらの高等部2年生としましょう。

2年生にする理由は単純で、上級生と下級生を設定することが容易だからです。
自分が脚本を書いたゲームを遊んでくれるプレーヤーは多分1人ではないでしょう。
とすれば、違った好みを持つ人々が遊ぶわけですから各プレーヤーがに気に入る
キャラクターは異なってくると考えられます。
年上がタイプという人もいれば、年下を可愛がりたいと思う人もいます。
1年生にすると上級生が多くなりますし、3年生に設定すると下級生が増えます。
そこで主人公を2年生とするとバランスが取れる、というわけです。

高等部にする理由は…まあ宿題ということで。
あくまで趣味の域(同人レベル)で話を考える場合はどーでもいい問題ですけど。

さて、主人公は聖シュナイダー学園高等部に通う2年生、ここまでは決まりました。
ここで主人公に関し、他に考えるべきことは何でしょうか?

実はありません。

ゲームという媒体で脚本を書く以上、「主人公=プレーヤー」という関係が成立します。
プレーヤーは主人公に感情移入して仮想空間を楽しむのですから、当然ですね。
恋愛SLGとか銘打たれているのであれば、その感情移入度はさらに強いでしょう。

しかし、その感情移入すべき主人公が、特異な立場にいる場合はどうでしょうか。
例えば野球部のエースで甲子園優勝投手だった、などという設定では
主人公に対して共感を抱きづらいのではないでしょうか。
遊ぶ側が想像できない立場に主人公を置いてしまうと
「主人公=プレーヤー」という構図は成立しなくなり、感情移入度は低下します。
つまりプレーヤーは醒めた目でゲームを遊んでしまうわけですね。
これでは「面白い!」と思わせるのが困難になります。

よって、主人公は非常に中立的な、平凡な人間に設定するのがセオリーです。
真剣に部活に打ち込まず、成績も学年トップなどということはない普通の高校生。
そうであればこそプレーヤーは主人公に容易に共感しうるのです。

学園ラブコメであえて主人公に強烈な個性を持たせる方法もありますが、かなり難しいです。
強烈な個性を持たせると主人公がプレーヤーから完全に離れてしまうので、
その分感情移入効果が期待できませんから。
それでも面白い話を書けるという自信がおありでしたら、是非とも挑戦してみて下さい。

だから名前もデフォルトでは平凡にし、後で変更可能なシステムにしておけばなお良しです。
電話帳を開くなりして、適当に一つピックアップしましょう。それで十分です。
鈴木浩一、すずきひろかず。上等ですね。

これで主人公は決定しました。さて、次回からはヒロインでも考えていきましょう。


第二回  ヒロインを設定する −職業・人数−

さて主人公が決まった以上、次はストーリーの華となるヒロインを考えねばなりません。
考えるのが嫌なら結構ですが、ヒロイン抜きで学園ラブコメを成立させようとすると…
ボーイズラブの天国ですね。趣旨がだいぶ異なってまいります。
ですからたとえ面倒だろうがヒロイン的キャラクターを用意しましょう。
私たちが作ろうとしているのはあくまで「ラブコメ」なんですから。

一応「ヒロイン」と称する以上、主人公と恋愛関係に入る可能性がある女性たち。
そして舞台は学校。ですから学校で出会いそうな女性でもざっと考えてみましょう。

女学生、女教師、女用務員、女事務員、女図書室司書…。

なんでも「女」を付ければヒロインになる。
性差別的といえばそうですが事実ではありますね。
ただ、主人公が特殊な対象と恋愛関係に陥るには相応の前提が必要となります。
例えば、食堂で働く滝川和子(43歳)に突如として主人公がフォーリンラブするのを
全てのプレーヤーに納得させ、受け入れさせるのは非常に骨が折れます。
また、ありがちな担任であっても説得的に恋愛模様を描くのは困難だと思います。
少しでも特殊な背景を挿入することは、それだけ説明に紙面を割くことになりますから。
よってヒロインは学生だけにしましょう。特に言い訳せずとも文句は出ませんので。

次に考えるべきはヒロインの人数です。
遊ぶ側にとっては、普通、多いほど好ましいでしょう。
それだけ自分の嗜好に合致するキャラクターが居る確率が高くなりますし、
さらに別なヒロインを目標にすることで繰り返し遊ぶことが可能になりますから。

しかし、書く側にとっては少ないほど好ましいと言えます。
三人しかヒロインが出てこないゲームと、全校生徒がターゲットになるゲーム。
どちらが書きやすいかなんてことは深く考えなくても分かりますよね。
一人で物語の最初から最後まで考えるとすれば5人管理できれば上出来でしょう。
それ以下でも恥じることはありません。私は5人以上で早くも勘弁です。面倒だし。

以上のように、書き手と読み手の間には価値の相反が存在します。
そのことを自認した上で具体的な人数を出さねばなりません。
一人二人では少ない、6人以上は厄介だ。となると最適人数は3〜5人の間となります。
真ん中をとって今回は4人にしておきましょう。

さてさて人数も決まったことですし、ここから先が本当のヒロイン作りになります。
彼女たち4人の性格・経歴・趣味等々を考え、現実感を付与していかねばなりません。
この作業を説明するには紙面を大幅に割かねばならず…短いですが今回はこれくらいで。


第三回 ヒロインを設定する −幼なじみ−

毎朝主人公を起こしにやってくる(最近は逆のパターンもあるようですが…)
もはやラブコメには必須の存在となりつつある「幼なじみ」。ヒロインその一は彼女に決定!

え、そうなる理由ですか?

それはただ「恋愛模様」を描きやすいことに尽きます。
「幼なじみ」という言葉の定義から考えても、主人公と彼女の間には
物語が始まる以前から共有している『過去』が存在しています。
そんな二人なら、初めから特別な感情が芽生えていても何の不思議もないでしょう?
そして初めから何らかの恋愛感情が想定できるのなら「恋に落ちる」過程の記述を
書く側が省略しても読む側が違和感を感じることは少ないかとも思いますし。

極端な例ですが、ゲーム開始から数分後に。
「好きだよ」
「うん」

という会話を出し、以降二人のラブラブモードに突入したとしても、
一方が幼なじみであればかなりの確率で許容されるでしょう。
だって、二人には想いをはぐくむ時間が以前からあったのですからねぇ。

そんなわけで、ヒロインその一は迷わず「幼なじみ」にします。
ついでに学年・クラス共に主人公と同じということにしておきましょう。
ここで捻ったところでさほど差が出るわけでもありませんし。

さて、次に考えねばならないことは彼女の性格です。
既存の作品との差別化とか、自分なりのオリジナリティを出したいなどといった感情は
超初等講座ということもありひとまず脇に置くことにいたしましょう。
その代わり、ここではサクサクとヒロインの性格を決める方法をお教えしましょう。

…いや、本当は臨床心理学におけるユングの類型論とかY-G性格検査について
一席ブチあげると「いかにもインテリ」って感じで良さげですが、
しょせんは私の自己満足ですからね。それに説明も長くなりますし。
ですからここでは、実効性があって簡単な性格設定方法を記します。

適当なゲームからヒロインを2人選び、両者の性格を足して二で割る。

以上。

こーゆーのって……ダメですか?
でも妙にひねって「独自性」を追求したところで、この高度情報化社会においては
似た性格を持ったヒロインが既に創出されている可能性は非常に高いです。
つまり、この世のどこかには我々の想像力の及ぶ範囲で生み出されたヒロインなんぞは
前もって存在すると考えた方が良いと。ホント、世界は広いですからねぇ。
ただの自己満足で終わる「性格」に時間を費やすくらいなら、彼女と主人公が時を過ごす
過程においてより良いプロットを考える努力をした方が、私はより生産的かと考えます。

足して二で割るのは、別にどんなキャラでも構いません。
もっとも、よく知るキャラの方が性格を把握し易いので資する面が多いとは思います。
あかりとマルチ、瑞穂と留美、名雪と栞など思いつくままの組み合わせで色々と性格を
考えてみましょう。きっとそのうち良い感じの個性が生まれる…はずです。

ここでは暫定的に、私が思いつくままに適当な性格を提示しておきます。
幼なじみは…そうですね。拙作「おかこち」の狩川茉莉と新庄永を使うことにしましょう。
口数は少なく、たまに出てくる言葉は辛辣。
しかし本性は世話好きで、いつも黙って主人公を見守っている。
「厳しさの中に優しさがある、基本的には地味で静かな性格」ということにしますね。
あくまで例示ですし、こればかりに関わっていても先に進めませんので。


第四回 ヒロインを設定する −上級生・下級生−

年上の女性というのは一体何歳くらいまで憧れの対象になりうるのでしょうかねぇ?
さすがに40過ぎても年上嗜好…という事態は微妙に想像困難ですが、
私もいい年こいてまだ憧れています。まあ、そんなことはサクサク脇に置きまして。

マザコンと陰口をたたかれようが、自分を庇護し受け止めてくれる存在を欲するのは
ある意味当然と言えましょう。
そして、その欲求を満たすべく生み出される類型が先輩的キャラクターというもの。
色々とパターンはありますが包容力に欠けた先輩…というのは見かけませんね。
まあ私が寡聞なだけかもしれませんが。本数遊んでいる自信はないですし。
というわけで、お姉さん的キャラクターとして上級生をヒロイン陣に加えましょう。

そして、一方当事者の下級生です。
上級生が「母・姉的存在」なら、下級生は当然「妹・娘的存在」ということになります。
主人公になつき(この表現自体、弱者を想定してますよね…)、時にはだだをこね、
なんとなれば自分の色に染めることができる愛らしい存在。
マスコット的な下級生は「ラブ」コメを名乗る以上は必須のキャラクターでしょう。

しかしどうして「必須」とまで言うのか?
なぜなら、幼年者に対する愛情は生物としてあらかじめ備えられた感情であり、
それを利用しない手はないからです。

年少者は相対的に弱者です。だから他者に保護されなければ成長できません。
そういうわけで保護を受けやすいように赤ちゃんは愛らしい顔をしているのだ…
という理屈を遠い昔どこかで聞いた記憶があります。
ともかく、種族を保存・繁栄させるためには弱者を庇護していく必要があり、
そのように仕向ける機構が我々の脳にも残っている…はずなのですが、どうでしょう?
この理論を全面的に援用すると、 人類は皆ロリコンなのだ という結論になりますが
性的嗜好の問題を脇に置けばそれなりに妥当する理屈ではあるかと。
よって、この原始的な感情を上手く利用してストーリーを「らぶ」に持ち込んだ方が
説得的にストーリーを展開できると思います。

ただ、彼女たちを登場させる場合どうやって主人公と接点を持たせるかが問題となります。
一応は主人公と恋仲になるんですから、ストーリーの展開如何によって彼女はある程度の
親近感を主人公に抱かなければなりません。
とすると、繁雑に主人公と上級生・下級生が邂逅する状況を作らねばなりませんよね?

確かに、一目見ただけで彼女が主人公にフォーリンラブ…という状況も想定できます。
しかし、いきなり先輩なり後輩なりが
「初対面でいきなりですが私あなたに激ラブってますマジで!!」
と言い寄ってきたところで、今度はプレーヤーが彼女に好意を抱いてくれるのだろうか…
という疑問が生じてきます。というか普通だったら引きませんか?
苦労して手に入れたモノの方がより有り難みを感じる、それが人の性というものでしょう。
それに、彼女が一目惚れした理由をプレーヤーに説明するも大変でしょうし。

でも、主人公と彼女がよく顔をあわせる状況を作るのもそれはそれで一苦労です。
普通に学生生活を送るだけなら上級生・下級生と会う機会ってほとんど無いですよね?
よって、無理と言われようがなんだろうが定期的に会う機会を作りましょう。

この時、最大の武器となるのが「部活動」です。
別に「帰宅方向が同じで毎日コンビニで見掛けていた結果仲良くなった」とのプロットでも
いいのですが、そのような話を幼なじみ以外の全員(この場合は3人)に用意するのは
それなりに骨が折れます。ですから部活動です。いやもう絶対に。

彼女たちも同じ部活に所属していたという設定にすれば先輩・後輩はおろか、
グルジアからやってきた謎の留学生エカテリーナさん(なのに日本語ペラペラ)と
お近づきになってもプレーヤー側から苦情が出ることは滅多にないでしょう。
また部活動を舞台装置に使用することは別なメリットもあります。
同じ部に所属しているという仲間意識から恋愛感情へと発展していくという過程は
それほど描写しづらいモノではないとは思いませんか?
というか、身の回りにそういった事例が幾らでも転がってそうですしね。
現に私が所属していた体育会系サークルでは一組、二組…。片手で収まりません。

というわけで、彼女たちは主人公と同じ部活に所属していたということにしましょう。
何かと説明が容易になり、脚本を書く時もそれだけカンタンに終わりますから。

なおその際、主人公たちの所属している部は何でも構わないと思います。
ただ、あまりに突拍子もなくて誰も理解できないサークル(例:砂糖機雷研究会)、
実在はしているが自分では内情を想像することが非常に困難なサークル、
男女交際があまり想定できないサークル(野球部なんかは厳しそうですよね)
などは避けておいた方が無難でしょう。
まあ、それをやりたいっていうのなら別に止めはしませんけど。お気に召すまま。

ここでは暫定的に彼らの所属している部活動を「郷土研究部」にしておきましょう。
その理由を強いて挙げれば…いかにも知名度が低そうだからでしょうか?
剣道部を舞台にするよりもこちらの方がより変則的な話を書けそうな気がしますし。

で、彼女たちの性格は前回記した「足して2で割る」方法で適当に作ってしまいましょう。
今回は例示しません。勝手に彼女たちの性格を策定してくださいませ。


第五回 ヒロインを設定する −最後の一人−

さて、外形を想定しなければならないヒロインもようやく最後の一人となりました。
幼なじみ、上級生、下級生の三名は既出なので学年的には全て埋まったことになり、
彼女たちだけでもプレーヤーの一般的な嗜好を満たすことは可能でしょう。
よって、最後に考える彼女の設定にはかなりのフリーハンドが与えられるわけです。

と、ここでアナタに尋ねます。

「なぜイチから設定を考えて脚本を書こうとするのか?」

もちろん、その回答は様々でしょう。
しかし「他人と違った作品が作りたい」という熱意は皆さん共通しているはずです。
上に掲げた設問自体、その熱意の存在を前提としているようなものですからねぇ(笑)。

ともあれ我々は「どこか他人とは違った」作品を作らねばなりません。
せめてオリジナリティの鱗片くらいは臭わせておかないと
『これって○○○○のパクリじゃん』という誹りを受けてしまいます。
まあ、人間は陰に陽に他作品の影響を受けるものなので多少のパクリ呼ばわりは
受けて当然だと思いますが、それはさておき。
少なくとも自分が「完全オリジナルだっ!」と胸を張れる程度には、
他作品との差別化を図れる部分を作っておくことにいたしましょう。

そして、そのための「最後の一人」なのです。
他作品との積極的な差別化を行うための貴い犠牲(?)として、
彼女の設定はできるだけ突拍子のないものにしてしまいましょう。
ただ、真剣に「突拍子のなさ」を追求してしまうと、今度は第二回で記したように
説得的に恋愛模様を描くのが困難になってしまいます。
そのあたりのバランス感覚は失わないように。

で、具体的にどんなキャラクターにするかですが…。

アナタの趣味・欲望を前面に押し出した、
徹頭徹尾アナタ好みのキャラクターを生成してしまいましょう!


そんな単純なのでいいのか、って?
いいんです。筆者自身の趣味なんて、どーせ身内以外は気付かないんですから。
プレーヤーから見れば他のヒロインも似たようなモノ、同じ扱いです。
意識するのはアナタ自身だけですから、あとは無視していれば問題ありません。

で、こればかりは色々と事例が考えられますが、あえて例を挙げますと…。

巫女服 虎鉄 を是非とも装備させたい?
オッケーです。どんどん流血事態を発生させましょう。

馬車道の制服 を着ないと絶対にダメ?
それもまた良し。バイト先にしておけば大丈夫ですね。

イタリアから来た ロードで峠をガシガシ攻める サイクリスト少女?
それでもいいですが、プレーヤーへの説明は難しそうですねぇ…。

といった具合に、人間だろうが宇宙人だろうがロボットだろうが、
ともかく自己の趣味に依拠したキャラクターにします。
これでも一応の差別化は図れるでしょうし、何より書いていて楽しいでしょうから。

正直、こういった設定を考えること自体は空想にも等しい行為ですから、
普通の想像力さえあれば誰にでも簡単に楽しんでできる作業でしょう。
しかし、実際に筆をとってから最後までモチベーションをずっと維持するのは困難です。
普通人なら途中で投げ出すのも当然ですし、そういう実例には事欠きません。
それを少しでも防止するため、一人ぐらいは趣味に偏ったヒロインを用意しましょう。
それに、それくらいの役得があってもいいじゃないですか。ねぇ?

というわけで、彼女は髪の毛一本に至るまでアナタの趣味で染め上げてしまいましょう。
同じ学校に在籍している女生徒、という一線さえ守っていればあとは何でも構いません。
あ、あと同じ部活動に所属しているってことは上級生・下級生と共通ですね。
あとは生い立ちから始まって、容姿、性格、趣味、特技、性癖…。
思う存分、心ゆくまでワガママに設定してくださいませ。

もう書くことが無くなってしまったので、今回はこのくらいで。
だって私の趣味に依拠したヒロインを披露しても面白くも何ともないじゃないですか…。

あ、先に言っておきますが、上の事例に示したのは私の趣味じゃないですよ。
いや、本当ですって(笑)。


第六回 ヒロインを設定する −命名−

前回まで、都合4人のヒロインについて考えてまいりました。
幼なじみ、上級生、下級生、そして最後の一人ですね。
そして現時点で彼女たちについて設定してあるのは性格だけ、
その他の部分については完全に白紙のままで放置してあります。
今回からしばらくの間は、この白紙の部分を埋めていくことにしましょう。

まず、悩みがちなのは彼女たちの名前ですね。
「名は体を表す」の文句もある通りキャラクター達にとり名前はそれなりに重要です。
ただ、一人につき1時間も悩んで命名するくらいなら、その時間をエアロビに回して
筆者自身の体力増強を図った方が得策です。修羅場はまさに体力勝負ですから。

小説のような文字に依存する表現媒体ではネーミングは非常に重要です。
いくら清楚な女性に書いたとしても、名前が「鬼頭虎子」では誰も萌えてくれません。
しかし、私たちが作るのはゲームです。文字が全てではありません。
ラブコメと言う以上、ヒロイン達を描いたCGが何枚かは用意されます。

とすると、プレーヤーがキャラに抱くイメージを決定づけるのはまずCGであり、
名前の占める位置は相対的に低くなります。
たとえ「鬼頭虎子」でも、CGがツボに入っていれば人気急上昇です。
名前なんていう物は所詮キャラクターを識別する際の記号にしかすぎない。
その程度だと考えていたほうが、何かと資することが多いと思います。

そういったことを念頭に置いて、まずは名字を考えましょう。

…と書きましたが、名字なんぞは考えるだけ無駄です。
あなたの知り合いに一人くらい「田中」さんはいませんか? 「斉藤」さんは?
では「長宗我部」さんや「御手洗」さんをご存知ですか?

地域特性はありますが「あまり耳にしない姓」と「よく聞く姓」が存在するのは
間違いない事実ですよね。
なのにヒロイン全てが前者の名字を持っていたとすれば、それは異常です。
一人くらいなら、まだ納得のしようもあるでしょうけど。

そして、悩んだあげく提示される名字というのは殆ど前者です。
と申しますか、後者だと大して悩む必要はありませんからね。
かといって登場人物がことごとく「鈴木」「山本」といったメジャーな姓ばかりでは
かえって違和感を覚えてしまう方は少なくないと思われます。
よく見掛ける名字、というのもそれはそれで困りモノなわけで。

そこで登場するのが…日本地図です。
まず地図の中から犠牲となる都道府県を選び出し、
そこに存在する地名を各キャラクターの名字にしてしまいましょう。
突拍子のない名前でもなく、かといってさほど平凡でもない。
そういった名字が労せずして見つかるはずです。

試みに、今回はごく限定して広島県広島市西区からピックアップしてみましょう。
福島、横川、楠木、三篠 。はい終了。

こんな安直な決め方でいいのかって? いいんですよ。
黙っていれば広島市民以外は気付きませんし、気付かれたところで
何か弊害が生じるわけではありません。
名字なんてものは結局、筆者本人がその姓に納得できるか否かが最大の問題で、
他のことはさほど重要ではない。まずはそういう現実に目を向けるべきでしょう。

適当に決定しても、その名前を何十回何百回とキーボードで叩いているうちに
あたかもそれが天から授かった最善の名前であるかのように感じる。
感性がマヒしてるだけ…という声も聞こえてきそうですが、結局は「慣れ」です。
初めは違和感を覚えていても、そのうち何とも思わなくなってきますから。

というわけで幼なじみは福島さん、上級生は横川さん、下級生は楠木さん、
最後の一人は三篠さんというようにそれぞれ名字が決まりました。

次は名前です。

こちらはさすがに地図とにらめっこしてもなかなか出てこないでしょうし、
名字ほどアッサリ決めなくてもいいでしょう。
上で決めた姓と組み合わせ、響き的に問題なければ何でも構わない。
ひとまずはそういうレベルの選考基準でよろしいかと。

ただ、それでも早々に確定させたい方は好きなゲームや小説、
マンガなどから拝借すればいいと思います。
もっとも、全ヒロインを一つの作品から採取するのはやめた方がいいでしょうけど。
「そんな安易に、借用の名前に決めてしまっていいのか?」とお嘆きになる人も
いらっしゃるかと存じますが、そんな心配はご無用です。
実際に存在している名前なんて、借用と呼べるものがほとんどなんですから。

性格の時に述べたのと同様で、独創性にあふれており、同時にどの作品でも
使用されたことのない名前を思いつける確率なんてのは限りなくゼロに近いです。
また、万が一思いつけたとしても、その場合はその場合で
「そんな独創性に富んだ名前をつける両親が果たして存在するのか?」
という疑問も湧いてきます。

娘なんてのはいつか嫁に行き、それからは先方の姓を用いるもの。
あまりにも突拍子もない名前では、名字が変わる際に「浮く」確率は高いでしょう。
確かに、現代では夫婦別姓だとか、女性であっても一生独身であることが
極端に珍しがられるわけではなくなっているのも事実でしょう。
ただ、そういったことを赤子の段階から念頭に置くパターンは極少かと。
普通の親なら、娘がごく普通の結婚生活に入るとの想定が第一でしょうから。

大体、どこかで聞いたような名前を子供達につける親が大多数だからこそ、
2000年の女の子の名前第一位が「さくら」になるわけですよ。
現実の世の中がそうであるというのに、あえて独創性にこだわる理由は
どこにあるのか、少々疑問を覚えずにはいられません。
確かに「所詮はフィクション」と割り切れば、どんな名前でも構わないでしょう。
しかし、極端な例で申せば、

太田叙瀬布衣濡 (読みは「おおた・じょせふぃーぬ」)

なんて名付けられた子供、100%学校でイジメに遭いますよ。
それでもあなたは「実の娘」に独創性に富んだ名前を付けてやりますか??

ですから(?)、胸を張って拝借してきましょう。

そういうわけで、サンプルの場合もある所から適当に拝借してくることにしました。
国語の教科書の隅に全部載ってるかもしれませんが…というのが元ネタであり、
大多数の人はこれをパクリだとは気付きもしないでしょう。
これを書いてから一ヶ月後なら、私もたぶん忘れてしまってるでしょうし(笑)。
その程度の認識・重要性でいいんですよ。名前なんて。

福島七瀬(ふくしま・ななせ)
横川桐花(よこかわ・とうか)
楠木まひる(くすのき・まひる)
三篠空穂(みささ・うつほ)

適当に選んだ割には、ちゃんとそれっぽくないですか?


第七回 ヒロインを設定する −家庭環境−

さて、名前・性格も決まったところでサクサクッとその他諸々を考えていきましょう。
名前なんぞで丸々一回分を割いた以上、少しは「巻いて」いきませんと…。

といっても、この段階では家族関係と両親の職業くらいを決めれば十分でしょう。
趣味や特技といった微細な設定については現段階では固定せずに。
そういったものはストーリーの必要上、後から付け加えることも多いですし、
グラフィッカー等製作関与者と議論していく過程で新たに決まることもありますし。
なにより始めから全てを確定させる必要はありませんからね。

家庭環境だけを先に決めるのは半分くらい私の趣味ですが、
人間の性向・特技などが家庭環境に影響を受けることを考えれば
それくらいの特権的地位を与えても構わないでしょう。

例えば父子家庭に育った女の子なら、家事が得意とか、金銭感覚が鋭いとか、
そういったオプションを付けた方が『自然』だと感じません?
また、二親が揃った一般中流家庭の女の子がやたら豪奢な服装・服飾品を
身につけている…なんて状況は想定しづらいですよね?
もっとも「彼女には特別なスポンサーがいる」など別な角度から理由付けすることも
一応可能でしょうが、それは奥の手として取っておいたほうが良いかと。

あと前述したように、微細な設定は制作側の事情等から変更される可能性があります。
そして後付けの設定とは、えてして矛盾抵触する部分を生じるものです。
設定の急遽変更という事態は可能な限り避けるべきなのでしょうが、
どれほど注意を払っても100%設定を変更せずにすむとは限りません。
ですから、その際にも動かない根幹部分としてこの「家庭環境」を設けることは、
矛盾した部分の少ない文章を書くためには、なかなか有効な策かと思います。
すでに「確定」させた事項であれば、それに矛盾した文言は書かないでしょう??

後になっても微細な部分については変更できるという柔軟性と、
テキスト中にて矛盾抵触する部分を最小限に抑えようとする厳格性。
その両者のバランスなども考えて、ここは家庭環境のみを定めるわけです。

まあ、ひとまずは以下のことくらいを確定させておけば十分でしょう。
わざわざ書き出すまでもないことのような気もしますが…。

・両親は健在か? どの職種に就いているのか?

家庭環境で最も重きを占めるのは両親の存在でしょう。
二親ともに揃っている場合と、片親であった場合との間に
そう極端な差異が生じることはないでしょうけど、
片親の方が自立性の高い子供に育っていそうな気はしますね。なんとなく。

それに、親の職業はそのまま家計に直結してきますよね?
あと親がどのくらいの頻度で家を空けるかとか(笑)。
いずれにせよ各ヒロインの性格・行動様態を考える際に重要な指針となりますので
何はなくとも、これだけはちゃんと考えて、決めておきましょう。

・兄弟姉妹は何人か? いたとすれば職業は何か?

これもまた家計や空き家率に直結する事項ですねぇ。

少子化が叫ばれている昨今、一人っ子であることは決して珍しくありません。
しかしヒロインに兄弟姉妹がいても、それはとても普通のことですよね?
そんなわけで全員一人っ子だとか、全員五つ子だとか。ちょっと異常に見えるような
状況さえ避ければ兄弟姉妹が何人だろうが特に問題はないと思います。

その他の留意事項といえば…。

親の場合は一般的に「サラリーマン、パートタイマー、専業主婦」など給料をもらってくる、
もしくは家事労働に従事する職業に就いているわけですよね?
しかし兄弟姉妹であれば、彼らの職業欄に記される文字列はさらに多様になります。
乳幼児であればその存在自体が仕事みたいなものですし、7歳児であれば小学生。
中学生・高校生・専門学校生・浪人生・大学生…という学生シリーズも基本ですが、
もしかしたらアンゴラ奥地の鉱山で穴を掘っているかもしれません。
年金生活者以外ならほぼ何でも職業にできるというのが兄弟姉妹の強みであり
面倒なところでもあります。いろいろと面白そうなものを考えてみましょう。


とりあえずはこういった、親兄弟のおおまかなラインだけで結構です。
じーちゃんばーちゃんや親戚一同までイチイチ考えてたら大変ですしね。
でも、これだけでも各人の生活環境や育ち方・それから想定される性格等々について
かなり「見えて」きたのではないでしょうか?

もしかしたら、今考えた家庭環境から想像されるヒロインの性格が、
上記「第三回」等にて導き出した各ヒロインのそれと一見して矛盾するかもしれません。
しかし、それはそれで彼女たちが今まで辿ってきた人生の複雑さから生じたもの。
家族構成から推定されるものが絶対的に適応されるわけではありませんし、
多少変に感じるようでもいいと思います。
もちろん皆さんが素直に納得できるような性格・家庭環境であれば言うことはありません。

さて、ヒロインの設定ばかりを弄ぶのは今回で終わりにいたしまして、
次回からは肝心のストーリー展開について具体的に検討していくことにしましょう。

今回はいつにも増して面白くない内容でしたね……まあ仕方ないんですけど…。


第八回 ストーリーを考える −ゲーム世界の時間枠−

さて、これからようやくシナリオ本体の構築に取りかかる…わけなのですが。
その初回としましては「ストーリー全体でどれくらいの規模にするのか」を
考えてみることにいたしましょう。
どれくらいの文章量にするのか、ゲーム内で何日間のお話にするのか。

「そんなものを考える必要があるのか?」と疑問に思われる方もいるでしょう。
実際にキーボードを叩き、進行具合を見てから決定すればいいとして。
もちろんそれも一つの手法だと思います。
しかし、その場の判断だけで作品の長短を決めようとしても上手くいかないものです。
なぜなら物書きという人種は「いつか書こう…」というエピソードを山ほど持っており、
事あるごとにそれを何とか生かせないかと努力してしまう生き物です。
そのため漠然とした目標で進めていくと「アレも書きたい、コレも書きたい」という
欲求に囚われ、その欲求に流されてしまうこともしばしばです。
結果作品は長くなり、その最果てに待っているのは永遠に終わらない作品が…。

反対に、適当なところで切り上げられるよう最初から一定の目標を設定しておけば
その迷宮をさまよう危険性はかなり軽減できます。
自信家なら止めはしませんが、そうでないアナタには最初に「規模」について
考慮することをお薦めします。


ところで、作品の規模を考える際に一番重要な要素は何だと思いますか。

作品を通底するテーマ? 書きたいと思うストーリーの量??
いいえ違います。それは『あなた自身の自由時間』です。

作品が完成するまで、私たちは正直ウンザリするほどの時間を執筆に投じることとなります。
もちろん書き始めは楽しいのですが、その楽しさは最後まで持続するものではありません。
少なくとも私の場合は。
また調子よく書いている途中なのにぷっつりと筆が進まなくなる、いわゆるスランプ状態も
往々にして発生します。
何時間PCの前に座っても全く進まない、あの時の不甲斐なさといったら…。

しかしどれほど執筆に飽きようが、スランプが襲いかかってこようが、
それでも私たちは文章を書き上げなければなりません。
未完成の作品に対する評価など期待するだけ無駄、完成してナンボですから。

そして時間があれば大抵のことは何とかなるものなのです。
一度執筆に飽きてもまた意欲が湧いてくるまで待つこともできますし、
遅いながらも筆を進めて書き上げる等、様々な方法を試せますから。
逆に時間がない状況で窮地に追い込まれると、これはもう打つ手なしです。
起死回生のアイデアを思いつく心理的余裕なんてありませんし、
足掻くだけで時が刻一刻と過ぎていく。結果、残るのは白紙の原稿用紙だけ。
そのあたりは夏休みの宿題なんかと同じですね(笑)。
ですから自身の自由時間を考慮に入れなければならないのです。

ここまで見て「僕はヒマな学生だし、いくらでも時間があるから大作だな!」と
お考えになった方、アナタはとても立派です。胸を張ってください。
そして覚悟の変わらないうちに、一気呵成に書き上げてしまいましょう。
「有り余るほどの時間」という特権はこういう時にこそ活用しませんとね。

逆に「そんなに余裕なんてない、ネトゲを遊ぶ時間だって必要だし…」と 思ってしまった方、
アナタは多数派を構成している一員です。胸を張ってください。
脚本執筆に割り当てられる時間が限られていることを自覚なさっているのなら、
その時間内で書き上げられる文章量にしておけばいいんです。
『長い話=面白い話』という図式が普遍的に存在しているのならともかく、
話の長短だけで作品の価値など計りようがありません。
そういうわけですので安心して、無理のないコンパクトな話を考えてみましょう。


大まかな規模が決まりましたら、続いてゲーム内の時間枠を考えてみましょう。
何月何日に始まり、何月何日で終わるストーリーにするのか。
もちろん先に考えた規模に合わせて、ですけど。

ゲーム内時間の始期・終期をいつにするのかはとても重要です。
なぜなら季節によってキャラクターが着る服は規定されてしまいますから。
「どうしても水着シーンが必要なんだ!」ということなら一般的に夏限定ですし、
「セーター越しのふくらみ」CGが欲しければ冬にしないとダメですし…。

そんな個人的な性癖は脇においても、始めと終わりをどこに置くかというのは
ゲームを作る上ではかなり重要になってきます。
例えば、春に始まって冬に終わる通年のゲームを作ろうとしますと、
制服だけでも夏と冬の2パターンを用意する必要が出てきます。
私服も同じく、季節感に合わせていくつか用意するようになるでしょう。
その負担にCG担当が耐えられそうか、第一に考えるのはその点です。
まあ、あえて同じ服装で一年間通すという荒業もありますが…私からはお薦めできません。
反対に始期と終期を特定季節内に収めてしまえばCG担当の負担は減ります。
小説であればこんなこと、一顧だにしなくていいんですけどね。

基本的には書きたい事を考え、それから決めていけばいいと思います。
例えば、秋の学園祭光景を書きたければ9−11月のうちの適当な2週間を、
受験シーズンの悲喜こもごもを書きたければ12―翌年3月まで、などと
ある程度は固定されてきますから。

ただ、老婆心ながら一言付け加えさせていただきますと、
最初からあまり長い期間を描写対象にしない方が適当かと思います。
海に行く話も雪山に行く話も書きたいから一年まるごと書こう、みたいに。
考えてもみてください。1日を原稿用紙1枚で表現したとしても、1年365日を
一日も欠かさずに書くのならそれだけで365枚は必要となります。
1枚15分のペースでコンスタントに書いたとして365枚は91時間少々、
毎日3時間ずつ向き合っても1月はかかる計算となります。
大作志向の方にしてみればそれほどの量には感じられないかもしれませんが
コンパクト路線ではそれが執筆者の生死を分けかねません。
アレコレ欲張りたい気持ちも分かりますが、これが初めての経験ならなおさら
最後まで粗相なくコトを済ませることを最優先に考えましょう。
繰り返しになりますが、未完成の超大作は客観的にはゴミ以下なのですから。

それでもあえて長期間を描出したいなら、クリスマスやバレンタイン等イベント日のみを
ピンポイントに書いていくようなスタイルになってしまうと思います。
(拙作「おかこち」「えすてぃ」は、まさにこういう形式でストーリーが進みます)
この手法を採用した場合、美味しい日時だけを書けるというメリットがありますが
反面、書かれない空白の時間をどう読み手に納得してもらうかという課題を背負います。
いずれにしても後で悔やむことのない様、今のうちに熟考しておきましょう。
事態の収拾は時間が経つにつれて困難になっていくものですからね。


特に何も考えていないという方には、私は一週間で完結する物語をお奨めします。
月曜に始まり、日曜で終わる。そんな簡潔な物語に纏めることを。
ゲーム内の時間枠をその程度に限定すれば極端に長い話にはなりませんし、
連続した期間にすることで「空白」を生じさせず、読み手の疑問の種をひとつ減らせます。
また一週間で「ひとつの物語」が完結する以上、その一日一日はとても大切になります。
書き手の側は仔細に工夫を凝らし、余計なものを極力排除していかねばなりません。
あらかじめ緻密にストーリー進行を組み立てておくのは大変な作業ですが、
結果、簡潔かつ精度の高い文章が仕上がることになるでしょう。
少なくとも平坦な文章が冗長に続く、という事態は回避できるはずです。

季節は…そうですね、やはり夏でしょうか。水着シーンが出せますから。
私たちが志向しているのは学園ラブコメとはいえ、お色気の要素はどうしても必要です。
扇情的なCGの無いラブコメは松井秀樹不在の読売巨人軍のようなもの、ですから。
季節に関係なくそういったCGを出せる定番としましては「露天風呂」がありますが
学生の身分で温泉でしっぽり、というのは老成しすぎだと個人的には思うわけで。
そんなわけで夏。海もしくはプールに行くイベントが必要不可欠だと強調しておきます。
「学園祭シーズンにしてコスプレ!」というのも魅力的ですけど…。

そうしますと1学期の期末試験が終了した頃を始期とし、夏休みが始まって数日で終期とする、
具体的には7月16日−23日くらいが適当でしょう。
試験が終わって開放感を満喫し、今年の夏をどう過ごそうかと考えている。そんな時期です。
夏休みに偏った日付配置だと「学園」という感に欠けますし、平常通り授業がある期間にしますと
主人公たちの自由時間が少ないためストーリー展開に幅が無くなってしまいます。
その中間を取るのが最善かと思ってこんな期間に定めてみましたが、いかがでしょうか?
すぐにいくつかエピソードが思い浮かぶような、そんな時間枠だと思うのですが。

さて次回はストーリー本体を考えることにいたしましょう。ようやく、の感はありますが。


補論1 サブキャラクター考

えーと、本論が半ばに至らないのに補論を提示するのは心苦しいですが、
今の執筆ペースではこのテキストが延々お蔵入りになるので何とぞお許し下さい。
元原稿を書き上げてから既に4ヶ月が経過していますし…(泣)。

ついでに、こちらは補論なものですから本論以上に書き方はぞんざいです。
元々有益性の低い文章ですし、そのあたりは勘弁していただければ幸いです。

最初は「サブキャラクター(以下サブキャラ)」の定義から。
議論の対象を定めずに話を進めても効用は低くなってしまいますので、
ここでは便宜的に以下のように同定しておきましょう。

「サブキャラ:ヒロインと主人公を除く、CGの存在する全てのキャラクター」

やたら大風呂敷な定義ですが、多分そうハズレてもないかと。
ともかく今後はこのような対象を指して用いますので一応留意して下さいませ。
まあ、忘れたところでそんなに問題があるとも思えませんケド。

で、第一に考慮すべきことは サブキャラは基本的に不要だ ということです。

主人公やヒロインと違い、彼らはゲームに必要不可欠な存在ではありません。
おそらく不在でも十分に面白い話は書けるでしょう…私は未経験ですが(笑)。
よって、何よりも先にまず「サブキャラを出すか、出さないか?」自体を検討する
必要があると思われます。
もちろんグラフィック担当にその余力があるか等々、周囲の様相も考慮に入れながら。

「出さない」となれば、ごく限られた人間関係の中で話を組み立てることになります。
もちろん少数のキャラクターでストーリーを考えるのは相当に骨が折れるでしょう。
ただ、小説などの他の媒体では5人も登場人物がいれば必要十分な程度と言えます。
また本論の指示に従って話を作っているのであれば、キャラクター全員が
同一サークル関係者となっていますからさらに困難さは低くなっているでしょう。
サークルは小さいながらも完結した社会ですから、サークルを主体に話を考えれば
とりたてて不都合は生じないはずです。
ともかく、ひとまず「少数精鋭主義で行くんだ!」とか宣言しつつ頑張ってくださいませ。

一方、「出す」となった場合は様々な懸案事項が生まれます。
ここではそのような結論に達したとして、以下色々と考えていきましょう。

1.登場させる人数

んなもん1人に決まってます。確定です。

お忘れかも知れませんが、ヒロインでさえ管理が難しいからと人数を制限してます。
にもかかわらず脇役を多数登場させては本末転倒ではないでしょうか?
サブキャラはヒロインに比べれば管理・差別化は容易だと思いますが
(そんなに真剣に描写する必要もないでしょうしねぇ…)それでも手間は増えます。

またサブキャラとはいえキャラクターには変わりがありません。
人数が増えれば、それだけ用意するCGが増加するのも当然のことです。
それに伴いグラフィック担当の仕事は増えます。説得も困難になります。

そのため、まずは1人だけで我慢しましょう。
「1人では厳しすぎる」「どうしても不都合が生じてしまう」という場合には
増やす他ありませんが、それでも最小限に抑えるよう努力しましょう。
古人曰く「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」、少ない分は創意工夫で補うべし。
たとえ1人でも、使いようによっては何人分にも働いてくれるでしょう。
もちろん何事にも限界はありますし、限界を無視するのはかなり愚かですが…。

2.性別

これも男性で確定です。女性は避けましょう。

僅かな差ではありますが、人類ではメスよりもオスの方が多く生まれております。
101:100とか、確かそれくらいの比率だったかと記憶しています。曖昧です。
ともかく理論上では、人類総数で見れば男性の方が多いということになります。

しかし現在考えているこのゲームの設定では男女比1:4となっています。
(男性→主人公1人、女性→ヒロイン4人)
恋愛要素を含むゲームでは仕方ない状況でしょうが、客観的には異常事態です。
この状態にさらに女性を加えて格差を増やすより、是正する方向に動いた方が
遊ぶ側が感じる歪な雰囲気は減らせるのではないでしょうか?
まあ、1:4から1:2に変わったところで大差ないような気もしますが…(汗)。

あと、サブキャラが男性確定な理由は他にもあります。
それは「主人公の男友達として登場させることができる」というものです。

学園ラブコメ…ということは、主人公は学生生活を送っているはず。
しかし今のままでは顔の出てくる主人公の友達は皆女性ばかりとなり、
男の友人は誰一人として顔が出てこないということになります。
同性の友達が全く存在しない学生生活。それはそれで楽しそうですが、
実際に渦中に置かれたら言い様のない孤独感を感じること間違いなしです。

そんな異常な状況を打破するためにも、是非男で!!

3.名前・性格他

名前は主人公・ヒロインの時以上にどーでもいいですね。適当に付けましょう。
例によって広島市西区から頂いて「中広孝介」とでもしておきますか。

性格も、そんなに考え込まなくてもいいでしょう。
仮にも孝介くんは主人公の友人になる存在なのですから、それほど極端に
曲がった性格はしていないかと。いわゆる「普通」の範疇には収まるでしょう。
ひとまずは筆者自身(つまりアナタ)の人格などをフルコピーして設定しておき、
物語をどう展開するかを考えた上で修正を加えるという形でも十分でしょう。
ともかく 恋愛対象にならないヤツは粗雑でいい んです。齟齬さえなければ。

立場は、上にも書いた通り「主人公の友人」です。
拙作『おかこち』の津谷響丞のようにサークルに入ってからの友人でもいいですし、
『えすてぃ』における彼のように先に知り合っていても何ら不都合はありません。
親密さについてもご自由に。ある程度親しい方が書きやすいとは思いますが。

その他も、矛盾や違和感が生じないように気を付けてさえいれば
おおよそのことは「我が儘」で構わないと思います。ご自由にどーぞ。

4.行動原理

最後に、彼のゲーム内での行動原理・基本的な行動方針について考えておきましょう。
ここが一番長いわけですが我慢してくださいまし。

サブキャラの存在意義は、要約すればたった二つのことかと思います。
それは「ストーリー展開を容易にすること」 「ストーリーを盛り上げること」です。
大なり小なり、世のサブキャラはこれらの役目を果たしていると言えるでしょう。

例えば…そうですね。少々古い例になりますが「ToHeart」のセバスチャンこと
長瀬源四郎氏なんかを考えてみましょう。知らない方は周囲に訊いてください。
当該物語中で、彼はあるヒロイン(来栖川芹香嬢)の過去について語っていますが、
それはまさにストーリー展開を容易にするための行動と言えます。
別な形で彼女の過去を披露しようとすれば、それはそれで手間だったでしょうから。
また、彼は主人公とヒロインの関係が進展するのを妨害してきますが、
そういった「愛の障害」的存在はストーリーを盛り上げるのには不可欠でしょう。

この代表的な二つの作用を、私は『狂言回し』『当て馬』と呼んでいます。
前者が「ストーリー展開を容易にする」、後者が「ストーリーを盛り上げる」役割ですね。
私的な呼称なんかは本来どーでもよいのですが、まあ(笑)。

それでは、まず『狂言回し』的な行動について見てみましょう。

こちらの役目を果たさせるのは比較的簡単ですね。
彼が主人公に様々な機会や情報などを提供すればいいんです。
「せっかく夏休みになったんだから、サークルの女の子を連れて海に遊びに行こうぜ」とか、
「そういや横川先輩はスケートが好きだって聞いたことがあるな…」といった風に。
都合良くストーリーを展開するためには適宜プレーヤーに情報を提示する必要がありますが
その役目を彼にも分担してもらうわけです。

例えば主人公があるヒロインにプレゼントを贈ろうとする状況を想定してみましょう。
その際、彼はヒロインがどのような嗜好をしているのか考えると思います。
現世利得的な傾向の持ち主には値の張るモノを、少女趣味なら花やぬいぐるみという風に
彼女が一番喜びそうなモノをプレゼントしようと知恵を絞るはずですね。
でもそういった情報が手元にない場合、彼はどうやって進物を決めるのでしょうか?

方法その1 「本人にそれとなく質問する」
いいですね、実に正論です。

方法その2 「彼女の周囲にいる女の子(他のヒロイン)に聞いてみる」
これもありがちな行動ですね。それだけ自然な展開だとも言えますが。

方法その3 「選択肢を用意してプレーヤーに選ばせる」
ゲームなんですから、こういう場面でプレーヤーに主体性を期待するのは良いことですね。

主人公とヒロインしか存在しない閉じた世界なら考えられる方法は以上で終了でしょう。
顔の見えない第三者から意見を拝聴する…というケースもあるでしょうが、
何度もそういう「顔無し」から情報提供を受けるのは違和感バリバリだと思います。

しかし、ここでサブキャラがいれば「方法その4・彼から聞く」というものが増えます。
主人公から質問されたサブキャラは既にヒロインの嗜好を知っているかもしれませんし、
もしかしたら本人に代わって質問するという義侠心に溢れた行動を取るかもしれません。
いずれにせよ展開の幅が一段階増えるわけですね。

そして、こういう事象はなにもプレゼントを贈る場面に限りません。
人生は選択の連続。それはゲームという制限された時の流れの中でも同様です。
その各局面において主人公がフリーハンドを与えられるようにするのも結構ですが
(毎回「選択肢を用意してプレーヤーに選ばせる」と、そうなりますね)
そればかりだと話の行く先は非常に多岐にわたり、無限に膨らんでいってしまいます。
ストーリーを書く側に無限に等しい時間が与えられているなら別ですが、
限られた時間でスジの通った話を書くのなら分岐は少ない方がありがたいもの。
特に、主要な場面では主人公を筆者の恣意性に従わせておかないと
支離滅裂なストーリー展開や余計な紙幅を費やす結果になってしまいます。

毎回では困りますが、時には我々の望むように主人公を誘導してやる必要がある。
その時に、サブキャラのアドバイスは主人公の行動を促す重要な要因となりますし、
そのアドバイスに従って主人公が行動しても誰も文句は言わないでしょう。
だって、あなたも友人の言葉には耳を傾けますよね? それと同じことですよ。
だからサブキャラのアドバイスは重要なわけなんです。

とまれ、こういうスタンスの人物を一名配置すると話の進行が実にスムーズになります。
一度お試しあれ。

そして、もう一方の『当て馬』について。

彼の存在によって話を盛り上げる方法はいくつか考えられますが、
ここではその代表的な用法のみについて記します。

『主人公と同じヒロインに恋をして、対決した上で敗れ去る』

ええ、基本です。まさに「当て馬」としての使い道です。
主人公の恋心にガソリンを注ぐためだけに使い潰してしまうわけです。

平坦な道を歩いても刺激は少なく、山谷がありカーブがあるからこそ旅は楽しいというもの。
もっとも、あまりに悪路だとロミオとジュリエットのように渓谷に転落死する場合もありますが
ちょっとした坂道なら事故にあう可能性は低いのに登り切った時には達成感が味わえます。
我々がサブキャラに期待するのはそういった「ちょっとした坂道」でいいわけです。

間違っても主人公を差しおいてヒロインと無理心中を図るような行動を取ってはいけません。
生きるか死ぬか、取るか取られるかの恋愛模様を描くのもなかなか楽しそうですが
そんな学生生活は普遍的ではないと思いますし、なによりコメディではありません。
劇的なラブストーリーを書きたいのなら、こんな駄文より近松門左衛門の世話浄瑠璃でも
読んだ方が余程役に立つでしょう。向こうは間違いなく「教養」ですしね。

最終的には主人公にサクッとヒロインをかっさらわれ、それでも暖かく彼らを見守る…と
いうくらいのストーリーにしておくのがベターかと思います。
適度な刺激を恋愛に加味するのであれば、その程度が妥当なところでしょう。

時には愛のキューピッドとして、時には恋路ジャマーとして。
いろいろな場面で彼を活躍させてあげてください。せっかく生み出したわけですし、ね??


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